スーパーの野菜から、見えないもの
スーパーで野菜を買うとき、誰が作ったかを考えることは、ほとんどありません。 値段を見て、形を見て、カゴに入れる。それだけ。
でも、農家の顔を知っていたら。その人の畑を見たことがあったら。 どんな想いで育てているかを知っていたら。きっと、買い方が変わるはずです。
日本の種に、起きていること
調べていくうちに、知らなかった事実に出会いました。 いま日本で流通する野菜の種の多くは、海外で採種されています。 そして市場の主流は、毎年種を買い直す前提のF1種(一代交配種)。
何世代も種を採り継いでいける固定種・在来種は、静かに姿を消しつつあります。 種を守り続けてきた農家の高齢化も進んでいて、 その手が止まれば、土地に根ざした味は二度と戻りません。
種は、食の一番はじまりにあるもの。 そこを守る人が報われない構造のままでいいのか。それが、出発点でした。
Makuakeで買った、豆乳メーカー
ある日、クラウドファンディングで豆乳メーカーを買いました。 届いてもいないのに、ワクワクしている自分がいました。
なぜだろうと考えて、気づきました。 作った人の顔と想いが見えたから。スペックではなく、ストーリー。 物を買っているんじゃなくて、想いを応援している。
同じことが、農家にもできる。 固定種を守り続ける農家の話を丁寧に届ければ、 「この人の野菜を買いたい」ではなく「この人を応援したい」に変わる。 そう確信した瞬間でした。
「売る場所」は、もう足りている
はじめは、自分でクラウドファンディングの仕組みを作るつもりでした。 農家の取り分が手数料で削られるのが嫌だったからです。
でも、調べていくうちに気づきました。 農家からお金を集めて渡す場所は、すでにいくつもあります。 産直の通販サイトも、クラウドファンディングも、ふるさと納税も。 そのどれもが手数料を取るのは、売る場所をつくって運ぶ手間がかかるからです。
足りていないのは、売る場所ではありませんでした。「この人から買いたい」と思える相手に出会う場所が、どこにもなかったのです。
だからMUSUBIは、売るのをやめました。 紹介だけをして、あとはその農家さん自身の販売先へお送りする。 お金を預からなければ、手数料をいただく理由もありません。
MUSUBIが目指す世界
スーパーで米を選ぶとき、銘柄と値段のほかに、 「あの人がつくった米だ」という選び方があってもいいと思っています。
つくっている人を知ってから買う。 一度知ったら、次の年もその人から買う。 何年か続いたら、それはもう買い物ではなく、つきあいになっています。
そのあいだに、MUSUBIは立ちません。 出会ったあとは、お二人のあいだのことです。 そのほうが長く続くと思うからです。
遠回りかもしれません。でも、正しい道だと信じています。 農家が、ちゃんと報われる未来のために。
MUSUBI 発起人
三吉 千尋