コラム固定種・在来種とは?
有機野菜とだいじなはなし

固定種・在来種とは?
F1種との違いをわかりやすく

「固定種」「在来種」「F1種」——農産物のパッケージやSNSでよく見かけるようになったこれらの言葉。 何がどう違うのか、なぜ今注目されているのかをやさしく解説します。

公開日 2025.4.1

まず「種」の話からはじめよう

農業の歴史は「種を選ぶ」歴史でもあります。農家は毎年の収穫の中から できのよい実を選び、その種を次の年にまく——という行為を何世代も繰り返してきました。 これを「自家採種(じかさいしゅ)」といいます。

しかし現代の農業では、この「当たり前」が大きく変わりつつあります。

3種類の種、何が違うの?

固定種(こていしゅ)

優れた個体を何世代も選び続けることで、形質が安定した品種。 種を採って翌年まいても同じような野菜が育ちます。 「自家採種できる種」の代名詞です。形が不揃いなものもありますが、 味の濃さや土地への適応力に優れるものが多いです。

在来種(ざいらいしゅ)

固定種の中でも、特定の地域で何百年もかけて受け継がれてきた品種。 京都の賀茂なす・万願寺とうがらし、長野の野沢菜、 東京の練馬大根など、各地の伝統野菜がこれにあたります。 その土地の気候・風土と一体化した「地域の宝」です。

F1種(エフワンしゅ)一代雑種

性質の異なる2つの純系品種を掛け合わせた「一代雑種」。 F1とは「Filial 1(第一世代)」の略です。 均質・高収量・見た目がきれいという特性から、 現代農業では主流となっています。ただし、種を採っても次世代に同じ性質が出ないため、 毎年種を購入する必要があります。

F1種のメリット・デメリット

F1種が農業を変えたのは事実です。収量が大幅に増え、形が均一になったことでスーパーの流通に乗りやすくなり、 安定供給を実現しました。しかし課題もあります。

メリット

  • ・収量が多く安定している
  • ・形・大きさが均一
  • ・病気に強い品種が多い
  • ・大量流通・スーパー向きの規格

デメリット

  • ・自家採種ができない
  • ・毎年種を購入する必要がある
  • ・少数の大企業が種市場を寡占
  • ・遺伝的多様性が失われやすい

なぜ今、固定種・在来種が注目されているの?

食料安全保障の観点から

輸入に頼る食料・種子供給が地政学リスクと直面する中、自家採種できる固定種は「食の自立」の象徴として再評価されています。

生物多様性の保全

FAO(国連食糧農業機関)によれば、20世紀中に食用植物の約75%の遺伝的多様性が失われました。固定種・在来種はその多様性を守る「種の図書館」です。

味と個性の豊かさ

均一なF1種にはない、甘み・苦み・香りのバランスが固定種にはあります。「昔の味がする」という声も多く、グルメ・レストラン需要が高まっています。

農家の自立・コスト削減

毎年種を買わずに済む固定種は、農家の経営コストを下げ、大企業への依存から解放される手段でもあります。

日本の伝統野菜——在来種の宝庫

各都道府県には、長年受け継がれてきた個性豊かな在来野菜があります。 その多くが今、絶滅の危機に立たされています。

ブランド名地域代表品種
京野菜京都府賀茂なす、万願寺とうがらし、水菜
加賀野菜石川県(金沢)源助大根、金時草、加賀れんこん
信州の伝統野菜長野県野沢菜、川中島白桃、みすず豆
江戸東京野菜東京都練馬大根、亀戸大根、東京うど
在来大豆全国丹波黒(兵庫)、秘伝豆(東北)

固定種野菜を手に入れるには?

農家の直売所・道の駅

地元農家が固定種・在来種を直接販売していることが多いです。

有機野菜の宅配サービス

大地を守る会・食べチョクなど、固定種を扱う農家も登録されています。

固定種専門の種苗店

野口種苗・たねの森などで種を購入し、家庭菜園で自分で育てることもできます。

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固定種栽培農家のサブスク・クラウドファンディングで応援し、返礼として野菜を受け取れます。

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