コラム食の自給率と種の問題
有機野菜とだいじなはなし

日本の食料自給率38%と
「種の問題」

スーパーに並ぶ野菜は国産でも、その種の90%以上が海外産だと知っていましたか? 食料自給率38%という数字の裏に隠れた、もうひとつの食の危機をわかりやすく解説します。

公開日 2025.4.1

日本の食料自給率はどのくらい?

農林水産省が2024年8月に公表した最新データによると、日本のカロリーベース食料自給率は38%(2023年度)。 3年連続で横ばいが続いており、政府が掲げる2030年の目標値「45%」には大きく届いていません。

主要国のカロリーベース食料自給率(農水省データ)

オーストラリア
233%
カナダ
204%
フランス
121%
アメリカ
104%
ドイツ
83%
イギリス
58%
日本
38%

G7の中で最低水準。1960年には79%あった自給率が、 食生活の西洋化(肉・乳製品・小麦への移行)によって60年かけてここまで下がりました。

「野菜自給率80%」のカラクリ

農水省の統計では野菜自給率は約80%とされています。でも、これは「国内で栽培した」というだけの数字。その野菜の種子がどこから来たかは含まれていません。

知っておきたい数字

9%

野菜の種子の国内自給率

91%

海外(中国・韓国・ニュージーランド等)で採種

出典:日本伝統野菜推進協会・東京大学大学院 鈴木宣弘教授の試算

国内の種苗メーカーが品種開発はしても、気候条件のよい海外に採種を委託しているためです。 もし何らかの事情で種子の輸入が止まれば、翌年から野菜が育てられなくなる可能性があります。

F1種が99.5%を占める日本の農業

現在の日本で農業用に使われる野菜種子のうち、F1種(一代雑種)が約99.5%を占めます。 F1種は均質・高収量で農家にとって使いやすい反面、種を採っても次世代に同じ性質が出ないため、 毎年種を購入する必要があります。

種類特徴自家採種
固定種優良個体を繰り返し選抜。土地の気候に適応できる
在来種特定地域で代々受け継いできた伝統品種(京野菜など)できる
F1種異なる純系を交配した一代雑種。均質・高収量実質不可

昭和30年代まではほとんどが固定種でしたが、高度成長期に急速にF1種へ切り替わりました。 固定種・在来種は現在わずか0.5%程度しか残っていません。

問題の構造:種子法廃止から種苗法改正まで

2018年には、66年間にわたって米・麦・大豆の優良種子を公的に守ってきた主要農作物種子法(種子法)が廃止されました。 廃止まで国会審議はわずか約12時間。17万人の反対署名が集まるなか、異例の速さで成立しました。

問題の連鎖

1食料自給率38%(カロリーベース)
2野菜・穀物の輸入依存
3種子の海外採種依存(タネ自給率9%)
4種子法廃止(2018年)→ 公的種子保護の弱体化
5改正種苗法(2021年)→ 登録品種の自家採種に許諾が必要
6F1種99.5%支配 → 固定種・在来種の消滅危機
7食料安全保障リスクの深刻化

一方で、種子法廃止後に35道県が独自の「種子条例」を制定し、公的な種子保護を続ける動きも広がっています。

消費者にできること

固定種・在来種野菜を選ぶ

地域の直売所、道の駅、有機野菜宅配サービスを活用しましょう。

国産・旬の食材を選ぶ

カロリーベース自給率の向上に直結します。地産地消で輸送コストも削減。

お米を積極的に食べる

米の自給率は約100%。和食・米中心の食生活が自給率向上に効果的です。

農家を直接支援する

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